日食めがねによる限界線を調べよう (チームR)
チームRについて
金環日食限界線付近で日食めがねを使って観察した場合、太陽はリング状に見えるのでしょうか?それともリングにはならないのでしょうか?実はよくわかっていません。
日食めがねで観察した場合、金環になるか部分になるかの限界線がどこを通るのか、つまり日食めがねの限界線がどこになるのかという研究は、前例が知られていないのです。
「予報された限界線よりも内側になる」「いや外側になる」
「案外予報線に近い精度がでるのではないか」「ばらつきがとてもおおきいのではないか」
など天文の関係者でも意見が分かれます。
人間の目の分解能や認識能力による部分が大きいので、過去のデータがない現時点では、どこが限界線になるかわからないのです!
わからないなら観測して調べましょう、ということで私たちは全国の人々に呼びかけ「日食めがねを使ってリングになったかどうか」を報告してもらい、その結果から「日食めがねによる限界線」を決めることを計画しています。
まさに、限界線を決める空前の観測です!
限界線を調べる方法
具体的には、以下2つのプロセスで限界線を調べます。
(1)みんなで日食マップをつくろう(チームR)
「日食めがねによる限界線」を決めるためにはできるだけ多くの報告を集める必要があります。
そこで日食を見た方々にインターネットや携帯電話で報告をしてもらいます。最近の携帯電話ではGPSで位置情報の取得ができることから正確な位置情報も取得も容易です。これは世界天文年2009プロジェクト「めざせ1000万人!みんなで星をみよう!(※1)」の手法を利用します。
サイトの製作は金環日食限界線研究会チームRが取り組んでいます。
インターネットや携帯電話を使って報告することへの敷居は比較的低いと考えています。報告件数の目標は2009年の10倍に当たる13000報告とします。潜在的には非常に多くの報告をうる事が可能です(※2)。
報告では手軽さやシンプルさが重要です。
そのために報告では、
- (a)名前(公開非公開選択できる)
- (b)位置情報
- (c)金環に見えたか、部分だったか
- (d)コメント
という4組の情報のみを求める予定です。
報告はリアルタイムにwebに掲載されます。
名前やコメントは解析には直接関係しませんが、報告者が楽しく参加できることを意図しています。多くの方に面白いと思ってもらうことと、企画の広報がきわめて重要であると考えます。そのための告知ポスターなど広報宣伝に重点を置く必要があります。大量の報告が集まれば自然に限界線が浮かび上がってくることも期待できます。
詳細な観測や解析を行うのが地域グループの役割です。
(2)各地域で限界線を決定する(共同観測キャンペーン) L計画
日食めがねによる限界線を決めるのは各地域グループです。
実際には日食めがねの種類、当日の天候、観測者の年齢構成等、様々な要因によって同じ状況下でも違った報告になることが予想されます。またベイリービーズは限界線よりも広い範囲で観測が可能です。(ベイリービーズの確認は熟練が必要ですので、インターネットや携帯電話での報告には項目として含めません)日食マップで得られた情報に詳細な分析を加えるために、各地域で日食を観測し、その結果を元に自分たちで限界線を求めます。その際、各地域グループは携帯で集まった情報も自由に利用できます。それぞれが決定した限界線については金環日食限界線研究会に報告し、最終的に各地の結果と照らし合わせて総合的な結論としたいと考えています。
各地域でどのような観測結果を集めて、限界線をどのように決定するか、ということが重要な要素となります。これは各地域で楽しく考えてください。基本的にはそれぞれの地域の自主性を重んじます。日食めがね以外の観測を行ってもかまいません。難しいことはできないというケースもあると思います。その場合は携帯への報告だけでもかまいません。共同観測キャンペーンをL計画とよんでいます。これは後述するチームBによる太陽直径を求める観測と補完する観測となります。
地域グループについては今後も参加を呼びかけます。
※1 このプロジェクトでは2009年で合計730万9685人が星を見たという報告あり。2009年7月22日には日本中で日食が観測された際には1308件、77,277人の報告された。http://star2009.jp/
※2 内閣府の調査によると携帯電話は、100世帯あたりの保有数量が227.1台。Ustream Asia株式会社の調査では2011年12月10日に「Ustream」を使って日本各地からライブ配信された皆既月食の中継番組の延べ視聴者数が約225万人、ユニーク視聴者数が約111万人に上ったと発表。
明石月食中継プロジェクト2011だけでも8万人が視聴。